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『トビラノムコウ』 / 山下康代

2006/06/06
緘黙って?吃音って?経験したものにしかわからない真実の1冊です。

トビラノムコウ
トビラノムコウ山下 康代

マキノ出版 2006-03-14
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長い間、深い海の底へ閉ざされていた記憶が今、ここによみがえる。

緘黙、いじめ、喘息、自閉、登校拒否、高校中退、引きこもり、セックス依存、
リストカット、 自殺未遂、 精神科病棟…。
「吃音(どもり)」という十字架に囚われた「私」がホントウに欲しかったものとは、
いったい何なのか?  未完成のパズルを一冊の本にまとめ上げた時、「私」は
ようやくトビラノムコウへの第一歩を踏み出す。

~ 以上、本の紹介文を引用しました ~


吃音や喘息、登校拒否などを経験した当事者が、当事者側からの立場でここまで
鮮明に書き下ろしている本は、おそらく類がないのではないでしょうか。

”言葉が声に乗らない”という表現、大事なことを言おうとすると余計に吃ってしまう、
”ワカラナインジャナクテ コトバガデテコナイ”という事実、吃音や緘黙の経験者なら、
「そうそう!そうなんだよね!」と絶対頷いてしまうと思います。

そういった文章の表現力も含め、自分と関わってきた人達のことを自分なりに観察・
分析しながらやり過ごしている洞察力っていうのかな、吃音や緘黙の人の特徴が上手く
表現されているなって思います。

著者は吃音のことを「自分の十字架」だと表現しています。
著者が吃音と常に背中合わせで存在し、今までの人生に吃音が膨大な影響を与えてきた
ことはこの本を読んだだけでも明らかであり、”十字架”という表現はまさにぴったりだ
と私も思いました。

実は、私自身も吃音・緘黙などの経験がありますので、読んでいるうちにいろんなところで
気持ちがリンクしてしまい、私にとっては泣ける作品でもありました。
吃音などの体験談を読んでいるというより、著者の人生そのものを感じられる素敵な一冊に
仕上がっていると思います。

ノンフィクションのはずなのに、まるでフィクションの小説を読んでいるような感覚で
読ませていただきました。吃音などの経験がない方でも、言葉が出ない、言葉が出にくい、
そういう生き方をしている人達の気持ちを理解してもらうには打って付けの1冊だと思います。
是非、専門家にも読んでいただきたいです。


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