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『ゼツメツ少年』 / 重松清

2016/08/18
ゼツメツ少年
ゼツメツ少年重松 清

新潮社 2013-09-20
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以前から気になっていた重松清さんの作品を初めて読みました。初めて読んだ著者の本がこれで良かったのかどうかはわかりませんが、こういう作風の本は初めてで、独特の世界に引き込まれ、一気に読みました。

<センセイ、僕たちを助けてください> <僕たちはゼツメツしてしまいます>  
<僕たちをセンセイの小説の登場人物にして、物語の中に隠れさせてほしいのです>

タケシからの手紙にはそう書かれていました。そしてこう続くのです。

<大事なのは想像力です>

そう。この本を読むためには、読者にとってもかなりの想像力を必要とします。タイトルの「ゼツメツ少年」とは、中2のタケシ、小5のリュウとジュンのこと。タケシから届く手紙~3人の旅の記録~を元に、センセイが書いた物語の世界が数ページのプロローグののち、一気に広がっていきます。

でもね。「タケシからの手紙を元に、センセイが書いた物語」を読んでいるはずなのに、徐々に物語の中の話なのか現実での話なのか混乱が生じてくるのです。タケシ、リュウ、ジュンといった実在の人物とセンセイの過去の作品に登場した人物が出会い、新たな物語の中で生きているのです。

彼らがなぜ「ゼツメツ少年」なのか。実在していたはずの彼らの身に、一体何が起こったのか。物語の端々から、その状況が徐々に知れてくるのですが、最後の数ページのエピローグで書かれている内容を読んでさらに混乱させられ、最後の最後まで想像力を働かせながら読みました。おそらく、一度読んだだけでは理解できない物語。<大事なのは想像力です>タケシのこの一文に尽きる物語だと思います。

正直、「ゼツメツ少年」の彼らには、素晴らしい未来は訪れません。子供が主役のストーリーで、こんなラストを迎える物語ってあるんですね。物語の中で彼らが発した心の叫びは、とても心打たれました。大人たちがなかなか気付いてやれない子どもの心情がとてもうまく表現されていて、いちいち心に響きました。そういった意味では、この作品は大人にも是非読んで欲しい内容なのではないでしょうか。

イジメ。不登校。自殺。死。そして、生。この物語には、そんな言葉が登場します。けれど、最後に「生(せい)」という言葉が登場したことが、実はとても大きなポイントなのでは?と思います。リュウのお父さんの言葉「生きるっていうのは、なにかを信じていられるっていうことなんだよ」は、子を思う親の気持ちが最高に凝縮されて紡ぎだされた言葉のように感じられ、涙が溢れました。

この世の中には、「ゼツメツ少年」のような子供達がきっと今もどこかにいるのでしょう。そういう子供達が「ゼツメツ」しない世の中にしなくては。もっと子供達と正面から向き合っていかなくては。大人として、親としてそう思わされた一冊でした。久しぶりにお気に入りの本に出会いました。

~追記~
この本を紹介するに当たり、調べていてわかったことが1つ。
この物語には、センセイの「過去の作品に登場した人物」が登場するのですが、その登場人物たちは、実際に過去の重松作品に登場する人物らしい。ということで、過去の重松作品を知ってる方が読むと、とても楽しめる作品のようです。どうやら作品を読む順番を間違えましたね、私。なんでよりによってこの作品を選んだかな~(笑)これを機に今後、重松作品を読んでいきたいと思います。



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08:00 ・し【重松清】 | コメント(0) | トラックバック(0)
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